もうすぐバレンタイン。
日本では女性が好きな男性にチョコレートを贈る日だったり、諸外国では男性が女性に花を贈る日だったり、内容は様々ですよね。
共通するのは、「愛」!皆さん愛があるから行動するのでしょう。
ということで、今回は「愛って何だろう?」と思わされる小説をご紹介。
こんな形の愛もあるのかと感銘を受けたり、これを愛と呼ぶのは違う!と思ったり、ご自身の中の「愛」の輪郭がきっとはっきりするはずです♪
角田光代『愛がなんだ』
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」-OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。
これは私の中ではかなりの衝撃作。
テルコの行動は、彼への純粋な愛なのか、という問いが終始私の頭の中で渦巻いていました。結論は出ないまま。
仕事をほっぽりだし、自分の生活すべてを犠牲にして尽くす姿は、痛々しさを通り越して清々しいです。何より、彼女をぶっ飛んでいると思いつつ、恋した女子なら一度はやってしまった&感じたことのある気持ちが心の隅をチクチクしてきます。テルコを完全に見放せないのはそのせいかもしれません。
タイトルの「愛がなんだ」がピッタリの作品です。
湊かなえ『母性』
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。…遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それともー。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。
母への愛、娘への愛、夫への愛、自分への愛、どれがあなたを支配しているでしょうか。
本作の登場人物たちはそれぞれの明確な愛に基づき己の道を邁進します。誰も正しくなく、誰しもが正しい。
愛に正解がない故のぶつかり合いと苦しみが描かれています。
ミステリー小説なので、それぞれの愛が絡み合い生まれる結末も必見です。
白石一文『愛なんて嘘』
恋人の家に転がり込んできたのは、とっくの昔に離婚したはずの彼の元妻だった。ひとつの場所にとどまることのできない女の存在が二人の関係を変える(「夜を想う人」)。一度は別れを選び、それぞれが新しい伴侶を見つけ、子供も授かった元夫婦の約束とは(「二人のプール」)。裏切りに満ちたこの世界で、信じられるのは私だけ? 平穏で幸福な愛の“ ”に気づいてしま った男女を繊細な筆致で描く六篇。
はっきりとタイトルで愛なんて嘘、と言われてしまいました。けれど、読み進めるうちに、愛って嘘みたいだけど、これを愛と呼ばずして何と呼ぶのだろう、という話もちらほら。はたまたこれがよくある話なら、愛なんて嘘かも、と思う話もちらほら。
どんな状況でも愛を見つけようとするか、突き放すかは自分次第だな、と思わされる一冊でした。
まとめ
様々な立場や状況での「愛」が登場する小説をご紹介しました。
みなさんの思う「愛」が更新されたり、確信を持てる本との出会いになっていると幸いです。