「女の友情」と聞くと、あなたはどんなイメージを持ちますか?
心強い、はたまた面倒くさいでしょうか。私は友人ではなく、親友を思い出します。
友人と親友の明確な判断基準はありませんが、きっと感覚的な何かや独自の基準があるのでしょうね。
長らく会っていなくても、頻繁に連絡を取っていなくても、親友は変わらず親友です。
前置きが長くなってしまいましたが、今回は女の友情とは何だろう?と考えさせられる小説をご紹介します。
柚木麻子『終点のあの子』
学生時代特有の甘酸っぱさや、若さゆえの残酷すぎるヒリヒリ感が満載。
話しているだけで時間があっという間に過ぎ去ったり、意外な人と仲良くなったり、女同士の友情の楽しさを懐かしく思い出しました。
本作は、そんなかけがえない時間が軽い一言や誤解により一瞬で崩れ去る恐ろしさやリアルさも描かれています。
憧れや嫉妬が誤った形で表に出てしまったり、誰かになれないもどかしさなど、大人になるための苦しみが詰まっていました。
学生時代の感情が、そのまま写し取られたような一冊。
角田光代『対岸の彼女』
大人になってから始まる女の友情は、学生時代と異なるのでしょうか。
本作を読むと、環境や相手は違えど女同士というのは何も変わらないのではないか、と思わされます。
もちろんオブラートに包むのがうまくなったり、かわし方がうまくなったりすることはあるでしょう。
けれど、憧れたり、卑屈になったり、助けられたり、学生時代とやっていることは変わらないのです。
大勢の友人より、一人でも親友と呼べる人がいれば人は強く生きていけるのだと、友情の大切さも感じた一冊でした。
綿矢りさ『ウォーク・イン・クローゼット』
こちらは前出の二冊とは異なり、「女子最高―!」と言いたくなるような爽快な物語。
社会と男と真っ向から戦うのではなく、それぞれのやり方で賢く生き抜いていく様が痛快です。
早希とだりあが程よい距離感で、お互いを心の中で信用し支えあっているのが見ていて気持ちいいです。
いい意味で、この二人のことは大人な「女性」ではなく、パワフルさを感じる「女子」と呼びたくなります。
親友とは、一緒にいれば“無敵”と思える存在なのかもしれませんね。
まとめ
様々な形の女の友情、いかがでしたか。
酸いも甘いもありますが、女の友情はやはりいいなあ、と私は思いました。
いいときばかりではないのも、友情の醍醐味だと思えるような3冊をご紹介しました。
ぜひ手に取って、いろんな友情を味わってみてください。