多様な「家族」の形を描いた小説3選

小説

みなさんは「家族」というと、どのようなイメージを抱くでしょうか。

守ってくれるもの、縛られるもの、温かいもの、重いもの等々、きっと育ってきた環境や今いる環境、様々な理由で異なることでしょう。

今回ご紹介するのは、清く明るい形だけが家族ではない、家族に正しさなんてないのだと教えてくれる小説3選です。

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町田そのこ『宙ごはん』


あらすじ

宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

本屋大賞2023年にノミネートされている話題作。

無意識のうちに自分の中で「当たり前の家族像」を作り上げ、それを通して自分や誰かを見ていたことに気づかされました。

本作には生みの母、育てのママ、父のような佐伯さん等様々な大人が宙と関係性を築きます。「家族」という形に必要なのは、必ずしも血のつながりや一緒に暮らしていることではないのですね。

柔軟に、自他共に生きやすい家族の定義を探しながら生きていきたいと思う一冊でした。

尾形真理子『隣人の愛を知れ』


あらすじ

不倫と仕事に一生懸命なパラリーガル、初恋の相手と同棲を続けるスタイリスト、夫の朝帰りに悩む結婚3年目の妻…。誰かを大切に想うほど淋しさが募る彼女たちの日常は、予想外の“事件”をきっかけに一変する。自分で選んだはずの関係に、どこで決着をつけるのか?素直になる勇気を得て、新しい人生へ踏み出す6人の軌跡を描いた恋愛小説。

親、子ども、姉妹、不倫相手、そのパートナー等様々な立場から見る「家族」。

誰かを家族として気にかけ愛を注いでいれば、それはれっきとした家族なのでしょう。
一緒にいるから家族として機能するわけではなく、意思を持って「家族」として接するから家族になっていくのだろう、と感じる一冊でした。

伊坂幸太郎『オー!ファーザー』


あらすじ

父親が四人いる!?高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件ー。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

父親4人と暮らしている、という仰天な設定がいきなり私のイメージする家族像を壊してきます。血の繋がった父親が誰か分からないという状況で、父親同士も仲良く暮らしているなんて!

4人の父親に愛され守られながら事件に立ち向かう由紀夫を見ていると、本人たちが一緒に過ごすこしたいと思っているかどうかが家族の定義ではないか、と思わされます。

父親だけだから、母親だけだから、という色眼鏡で人の幸せを決めつけてしまってはいけない、と改めて実感した一冊でした。

まとめ

自分の中の「家族」の在り方を問われる小説を3冊ご紹介しました。

ぜひ気になる作品をお手に取ってみてくださいね。



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