似てる?似ていない?パワフルな姉妹が主人公の小説3選

小説

姉妹って、友情とも親子とも異なる、特別な絆を感じます。

私は姉妹がいないので、尚更その関係性に憧れたり、妄想したり。

お洋服を貸し借りし、カフェやバーに行ったり、時には恋愛相談をしたり…。夢は膨らみます。

もちろん、残念ながら全ての姉妹がうまくいっているわけではない、ということも物語や現実から学んでしまいましたが。

今回は、不満を言いつつも素敵な姉妹関係を築いている女性たちが主人公の小説をご紹介します。

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江國香織『思いわずらうことなく愉しく生きよ』


あらすじ

犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにする。不穏な現実の底に湧きでるすこやかさの泉!感動の長編小説。

あらすじからも分かるように、性格も環境も考え方も三者三様の犬山家の三姉妹。

お互いを尊敬し、時には諦めにも近い感情で受け入れ、精神的にも物理的にも支え合っている彼女たちの関係性は美しいです!

三人とも、何もかも異なるように見えますが、問題発生時のパワフルすぎる吹っ切れ方がそっくり。
異なるベクトル、けれども確実に同じ爆発力です。

それぞれが抱える問題(主に男性関係)をそれぞれのやり方で、時に協力しながら乗り切っていく姿は必見です!

個人的には、次女>三女>長女の順で共感できましたが、それぞれに共感ポイントが見つかるはずなので、姉妹がいない人にもおすすめしたいです。

吉川トリコ『少女病』


あらすじ

母親と呼ばれることを厭うエキセントリックな少女小説家の母・織子と、父親の違う三人の娘。全く性格の違う4人に共通するのは「母親のようにはなりたくない」ということ。自分の中の「少女」と大人の狭間で葛藤する少女達を瑞々しく描き出した傑作長編。

本作は、各章ごとに順に主人公が変わります。

各章の冒頭にチェックリストがついており、あらかじめ自分が誰にどのくらい共感できるかが分かる遊び心も。
まるで心理テストのようで、乙女心がくすぐられる仕掛けですね。

三姉妹それぞれが恋や結婚と向き合い、自分なりの結論を探していく過程に性格が出ていて面白いです。

奇抜な母親にうんざりしながらも、嫌いになりきれないところが彼女たちの共通点。

そんな母親が主人公の章もあり、彼女がどうしてそうなったか、を知ることで、物語に深みが出ます。
母親の章を読んだ後、再度三姉妹が主人公の章を読み直すことをおすすめします!

唯川恵『息がとまるほど』

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あらすじ

同僚にプロポーズされたのを機に、不倫中の上司と別れる決意をした朋絵だったが、最後のデートを後輩に目撃され……。男と女の間に流れる、もはや愛とは呼べないくろぐろとした感情、女と女の間の、友情とは呼べない嫉妬や裏切り、優越感。女たちの心に沈む思いを濃密に描きだした、八つの傑作恋愛短篇。

八つの短篇集の最後の物語が、「あね、いもうと」。

両親とソリが合わない派手な姉と、真面目で一本槍な妹の、見た目も中身も全く似ていない二卵性双生児。それでも家族とは上手くいっていない姉も、妹とは仲良く育ってきました。
姉は浮気していたヒモ男に逃げられ、妹は結婚式当日に新郎に逃げられてしまいます。
そんな二人は、それぞれの方法で男性に復讐するのですが…。

これはもうホラーに近いです。
はっきりとは男性に何をしたか描かれてはおらず、その解釈は読者に委ねられていますが、姉妹それぞれがお互いの所業を察していると感じられます。

ここではネタバレを避けるため、二人の復讐については触れませんが、まさに血は争えない、と思いました。

誰しもが心に潜ませているであろう感情にゾクゾクしたい方におすすめです!
キラキラ感がなく、案外リアルな姉妹像かも?!

まとめ

気になる姉妹、似ていそうな姉妹は見つかりましたでしょうか?

どの小説も、一見性格や価値観が異なる姉妹たちが、ここぞ!という時は同じパワーで同じように立ち向かっていく姿が描かれていました。

普段は理解し合えなくても、根っこの部分は言葉にせずとも通ずるものがある、それが姉妹なのかもしれません。たとえそれが恐ろしい方法であっても。

今回姉妹をテーマにしたので、いつか兄弟がテーマの記事も書きたいと思います!







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